Forbes Japanに「オランダの首都アムステルダムが、市中心部へのクルーズ船の寄港を禁止することを決めた。オーバーツーリズム(観光公害)や環境汚染を抑制するのが狙いだ。[1]」(2023.7.25)という記事が出ています。コロナ禍前にイタリアベネチアでの反対運動が記憶に残るところです。コロナ後の昨今の国内観光地の状況を見ると他人事ではありません。
観光振興は地域振興と経済波及効果であるが反面、オーバーツーリズムが問題になります。オーバーツーリズムは環境破壊だけでなく、地域の生活を麻痺させ、暮らしづらい環境を招きます。観光収容能力を考え、戦略を練る必要があります。
さて、大学での観光の学びは、どの様にすれば観光客の増加が図れるか、どの様なメッセージが消費者に届くか。従来の学びの中心がマーケティングでした。急激な需要の増加によるオーバーツーリズムでは環境と地域振興の両輪の学びが必要です。SDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)が声高に叫ばれる中で、私たちは今一度、社会の在り方や生き方を考え直す時でもあります。観光は統合的学問です。急激な温暖化は経済成長に警告を発しています。観光に携わる人や観光を学ぶ学生は、多面的に物事を考える能力が求められます。冒頭の“オランダのクルーズ船お断り”からも見られる様に、どの様に観光を振興し、且つ環境問題、地域の暮らしを解決できるかは人財育成にかかっています。学びの場では常に疑問を持ち議論をしていきたいと考えています。表題の「観光の学びの今」は今までの学びから、これからの学びに大きく変化を与えていきます。
出典:神戸市HP
英語観光学科 一尾敏正
専門分野:ホスピタリティマネジメント・ホテル経営
[1] https://forbesjapan.com/articles/detail/64799 2023.7.25