【教員コラムvol.14】2024年の夏を振り返り、改めて「防災教育」を考える(英語観光学科 松井敦 准教授)

今年の夏は、本当に暑い夏でした。「災害級の暑さ」などと言われ、平均気温は、昨年と並んで過去最高となり、長期間厳しい暑さが続きました。この夏の気温は全国的に平年を大きく上回り、1898年から統計を開始した日本の平均気温偏差は、過去最高となりました。そして、全国の熱中症による救急搬送者数は毎週のように1万人を超え、死者も多数出るという事態となりました。

8月8日、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されました。臨時情報が出たのは初めてで、国は防災対策の推進地域に指定されている29都府県の707市町村に対して、1週間、ふだんの生活を続けながら地震への備えを改めて確認するよう呼びかけました。しかし、初めての発表に、各地では対応がわかれる場面も見られ、交通機関や太平洋側の自治体や観光地などでは一時混乱状態ともいえる状況となりました。

8月22日にマリアナ諸島で発生した台風10号は、9月1日に三重県沖で熱帯低気圧になるまで、九州-四国-近畿を停滞しながらゆっくりと、気象庁も予測できないような進路を進み、各地に被害をもたらせました。幸いにも私たちの住む京阪神地区には大きな被害はなかったようですが、台風から遠く離れた東海から関東地方で、記録的な大雨をもたらし大きな被害が出てしまいました。

さらに、能登半島豪雨災害。震災の傷跡もまだ生々しい能登半島に、容赦なく豪雨は降り注ぎ、多大なる災害をもたらしました。

いずれも、「今までに経験のない」「記録的な」「初めての」災害ばかりで、こういった前例のない事態に直面した時に、いったいどう対応すればよいのか、過去の教訓に学びながら私たちは考え、危機感を持って、備えなければなりません。

防災教育では、過去の教訓を伝えることが主流だとは思うのですが、これだけ「過去になかったような災害」続くと、子どもたちに何を伝えるのか、どんな力をつけなければならないのか。まずは大人がしっかりと考えなければなりません。そして子どもたちと共に、学び、考え、判断して行動し、安心安全な未来を創っていかなければならない、「予測困難な社会」を生き抜く力をつけていかなければならないと、改めて思い知らされた夏でした。